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2005.10.12

モーツァルトの臨終に立ち会う

W.A.Mozart: Requiem d-moll KV626

 それが錯覚であることを私は知っている。
 しかし、私は敢えて言う。
 モーツァルトの臨終に立ち会った。
 と。

 『レクイエム KV626』を全曲聴き終えたところで、確かにそう感じるのである。
 絶筆「Lacrimosa(涙その日)」の8小節目で、モーツァルトは息絶える。
 その後も音楽は続く。
 「Lacrimosa」に至って、哀しみは極まる。
 しかし、その哀しみはあまりに美しくて涙さえ出ない。
 弦楽のハーモニーにのって、合唱が繊細に厳かに「涙」の旋律を歌う。
 ジェスマイヤー版の「Lacrimosa」は短すぎて完結していない感がある。
 モーツァルトの死を看取った感傷に浸る間もなく、音楽は次へと展開していく。
 モーツァルトは恐らく、長すぎる感傷を好まないだろう。
 死を超えてなおも、音楽は展開していく。
 モーツァルトは『レクイエム KV626』を完成させることはできなかった。
 弟子の手に委ねられて完成したこの最後の曲はやはり、
 モーツァルト自身の鎮魂歌である。

 かくも多くの人がこの曲を音楽ホールや聖堂で聴く度に
 モーツァルトの臨終に立ち会うことになる。
 「Dies irae」の激しさを超えて、「Lacrimosa」の哀しみを超えて、
 最後の響きに至ったとき、モーツァルトの昇天を見届けたと、
 私は確かに感じたのだった。

   
 

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Comments

 ご無沙汰致しております。
 その後いかがお過ごしですか?
 私は今「バ・ロック音楽祭」という音楽祭の公式カメラマンをしております。
 ご興味ございましたら、覗いて見て下さい!
 http://i-debut.org/ivalue/0001054/?

Posted by: photographer_naoko | 2006.03.26 at 10:47

トラックバックして頂き、ありがとうございます。お忙しそうで何よりです。今後の益々のご活躍をお祈り致します。

Posted by: photographer_naoko | 2006.02.08 at 19:11

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