フランツ・カフカのまなざし
美しい人でした(4)
理由は忘れたが、近くの総合病院に行った。
待合室で待っていたら、他の人が先に呼ばれた。
「○×カフカさん」
え? カフカさん?
診察室に入っていったのは、1歳前後の赤ちゃんとそのママ。
会計を待っていたら、例のカフカさんが先に呼ばれた。
「○×カフカちゃん」
この赤ちゃんがカフカちゃんなのね。変わった名前。女の子?
薬を待っていたら、カフカちゃんがおもちゃを落としたので拾ってあげた。
ついでに、興味津々でカフカちゃんママに話しかける。
美人! 目があってドキドキした。誰かに似てる・・・誰だろう?
「あの、カフカちゃんってどういう字、書くんですか?」
「“香り”に“深い”で“香深”です」
「文学者のフランツ・カフカに因んで、ですか?」
「ええ、主人が何か知ってるみたいです」
つまり、ママ自身はフランツ・カフカには特に興味もないということ?
それにしても、カフカちゃんママ、綺麗。日本人ばなれした凛と通った鼻筋、輪郭のくっきりした唇。それに、この目! 大きくて聡明そうで、見つめられると深いところに引きずり込まれそうな、この目! この眼差しは・・・?
その眼差しは、他ならぬフランツ・カフカの眼差し。フランツ・カフカ・ファンの彼女のご主人は、フランツ・カフカによく似た女性と結婚して、娘に「カフカ」と名づけたということ? なんて徹底したファンぶり。フランツ・カフカ・ファンの夫、フランツ・カフカ似の妻、「カフカ」いう名の娘。フランツ・カフカで結ばれたファミリーが、ある。ということが何だかとても嬉しかった。
私は、フランツ・カフカを読んだことはあまりないが、フランツ・カフカのお顔が好き。特に目が。







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